魂の繋がり

叔父は

お酒が大好きで

大声で怒鳴る
大声で笑う
ギョロ目で赤ら顔
 
一見取っつきにくくて
怖い感じの男だけど
困っている人を助けずにはいられない
とても心の優しい人だった。
  
   
    
肺癌で闘病中だった叔父が
間質性肺炎を併発して
危ないかもとの連絡を受けるも
その後 なんとか持ち直し
半月ほど経った頃
    
仕事を言い訳に
田舎に見舞いに帰らない私に
妹から電話が入った。
  
 
まさお おんちゃん
いつ亡くなってもおかしくない状態やよ。
親族で会ってないの、ねぇちゃんだけやわ。
  
  

その時
「待っていてくれてる」のだと
直感的に感じた。。。
  
  
   
正直、何日も仕事を休みたくなかった。
それなりに責任のある立場にも就き
やりがいと居場所に重要感を感じ
大切なものを見失っていたかもしれない。
   
残念だけど帰るときはお葬式と
漠然と思っていた。
   
    
   
対面した叔父は
呼吸器に繋がれていて
見たこともないほど
顔が浮腫んでいた。
 
それでも 呼び掛けると
うっすらと反応があった。

「おんちゃん
ひろみ、分かる?」
目と目があった。
じっと見ている。
涙が出た。
    
意を決して
おばには聞こえないように
叔父の耳元に顔を近づけて

「待っててくれて ありがとう。
ずっと来ないで、ごめん。
お疲れさまでした。
ありがとう。」

と告げた。
  
   
   
本当に最期かもしれないという
悲しみを打ち消すように
叔父のベッド周りや
従兄弟の子どもが遊ぶ病室を
たくさんのバルーンで飾って帰った。

  
   
東京に戻った翌日の夜
叔父の訃報がはいった。
  
  


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大人になってからは
たまに帰省の際に会うくらいで
なんとなく
関係が希薄になっているように
感じていた。
  
でも、叔父にとってはいつまでも
かわいい姪だったのだと分かった。
   
私が後悔しないように
生きて会ってくれた。
最後まで優しい叔父だった。